「ねー、そっちどう?終わりそー?私、もう飽きちゃっ……あれ、花?どうし――――え、ちょ、やだ、うそ、なに」
「かな、どうかしたの?…花…?―――っ!救急車!かな、早く!先生に言って救急車呼んで!」
「わ、わかった!!」
「花!花!!しっかりして!」
(あの人には沢山のものをもらった)
(なのに、まだ私は何も返せてない)
「山田さん。怪我の回復は順調です。少し傷は残ってしまうかもしれませんが、徐々に目立たなくなってくると思います。
――ただ、言いにくいのですが毒物が体内に残ってしまっています。
ええ、以前にもお話しさせていただいた通り、傷口から考えて山田さんは刃物で刺されたのだと思いますが、
その刃物に毒が塗られていたのではないかと…」
「たまに発作的な症状が出ているというのは、恐らくこの毒に対して身体が過剰反応しているのだと考えられます。
毒物の特定ができれば治療は可能ですが、残念ながら、まだその毒物の種類が特定できていません。
専門機関に問い合わせてはいるのですが…不思議としか言いようがないのですが、
今現在、地球上に存在しているとは思えない物質のようで…いえ、実際に存在しているわけですから、
逆に新しく作り出されたと考えるべきなのかもしれません。ともかく、毒の特定ができるまでは、できるだけ安静に――」
(あの人のために何かできること、あるかな)
(私に、何ができるかな)
「まあ、山田さん!駄目ですよ!安静にしていてくださいと先生も仰ってたじゃありませんか。
無理をして発作が起きたら――」
「看護士から聞きましたよ。また病室を抜け出そうとしたとか。まだ有効な治療法が見つかっていないんですから、
安静にしていないと」
「ですから、身体に負担をかけるようなことをしたら半年も保障できませんよ?どうか安静にして―――」
(できることなんて、そんなに沢山はないだろうけれど、それでも残りの時間を全て、あの人のために使いたい)
(何より、ただもう一度、会いたい)
(せめて、一目でもいいから、あの人に)
(孟徳さん――――!)
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