『密なる・・・』





捜し求めていた人は、木の根元に静かに佇んでいた。

幹に右手を押し当て、重厚感漂うそれに頭も預け。

・・・けれど、眠っているわけではないようだ。

実を言うと、ふらりと出掛けて戻ってこないプラチナを探しに出たジェイドが彼を発見するとき、彼がまともに起きていたことの方が圧倒的に少ない。
だから、今日のこの状態に少しばかり不可解な気分になった・・・などということは胸の中にしまっておくことにする。
言ったら間違いなく抜刀されそうなので。
もっともそれはそれで楽しいのだが。




「しかし・・・一体こんなところで何を・・・?」
ジェイドは暫くプラチナの様子をうかがったが、そこから動く気配がなかったので、一歩、近寄ろうとした。


それと時をほぼ同じくして、伏せられていたプラチナの顔がすっと上げられた。
そして、ゆるりと優雅に線を描いた腕が、太い幹に無防備に回された。

「・・・っ」


大人気ない。
大人気ない。

わかってはいるものの。そう呪文のように唱えてみても、波立ってしまった自分の感情までは誤魔化せない。


ジェイドは、今度は迷わずプラチナの傍へと向かった。








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2002.08.04アップ

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