11月5日   



「あ。いた。ごくー!」
「ごくー!」
「おう。どうしたガキども?…ってか、どうした、玄奘。んな、赤い組紐でぐるぐる巻きになって。…新しい遊びか?」
「ち、違います!というより、私にも何が何だか…」
「なー、悟空、今日誕生日だろ?」
「あ?…ああ、そういや、そうだな」
「だから、オレたちからプレゼント!」
「プレゼントなの!」
「は?」
「あ、あなたたち何を言っているのですか!私は物ではありませんし、大体、プレゼントって…っ」
「…ガキども」
「そうです、悟空!あなたからも何とか言ってください!」
「…お前らの気持ちはよーくわかった。プレゼントはありがたくもらっとくぜ」
「ご、悟空ーーー!!」





<おまけ>

「一体全体、どうしてこんなことを思いついたのですか?」
「えー、だって、この前悟空に何が欲しいって聞いたら…」
「『玄奘』って言ったんだもん」
「………。ご…悟空ーーーーーーー!!!」







2009.11.05

そして特大雷が落ちる。(笑)

今日だから許される(と思いたい)超短駄文でした!(脱兎)













人畜有害   



悟空は意外と子供に人気がある。
けれどそれは彼に少しなりと慣れてからの話であって、 やはり体格が良く、見ようによっては目つきも鋭く愛想のない (彼の内面を詳しく知ってしまうと、眠いのだろうかとしか思えない)彼を初めて見た瞬間には、 大抵の子供は恐れが先に立つようだ。
今日も、家のおつかいで初めてこの寺院に来た子供が、たまたま悟空と門の先で出会って硬直してしまった。
涙目になって立ち尽くしている子供に気付いて駆け寄った玄奘は、慌てて子供を宥めた。
「大丈夫ですよ。恐くありませんから。この人は体は大きいですが人畜無害な人ですからね」
必死で言い募るあまり、自分の言った言葉とそれが与える影響を考える余裕などこのときの彼女にはなかった。 …幸か不幸か。




◆◆◆




「あの、悟空?」
「なんだ?」
「私、そろそろ寝たいのですけれど…」
「ああ、寝ろよ。俺に構わず」
いや、構うでしょう、と内心でひとりごちて、玄奘は努めて穏やかに話を続けた。
「では、悟空には、そろそろ自分の部屋に戻っていただきたいのですが」
「なんでだ?」

一瞬、閉口した。
何で、と言われても、むしろそれはこちらの台詞だ。一体何を言っているのか。

「なぜって…おかしいでしょう。就寝前に私の寝室にやってきて、何か話があるのかと思えば、 そういうわけでもなさそうですし」
「だーから、俺のことは気にせず寝ろって言ってんだろ?」
「気にします!大体ですね、年頃の男女が夜更けに同じ部屋にいるというだけでも問題だというのに、 同じ部屋で眠ったなんて和尚様が知ったら何とおっしゃるか!その…まだ婚姻も結んでいないのに」
最後の方だけもごもごと小さく付け足した玄奘に、悟空は飄々と返した。
「それじゃ、今すぐ婚姻とやらを結ぶか?」
「何を馬鹿なことを言ってるんです!そんないきなり!!」
真っ赤になって叫ぶと、耳を押さえた悟空が嫌そうな顔で「耳元で喚くなよ」と苦情を呈してきた。
「あなたがそんな性質の悪い冗談を言うからです!」
きちんと座したまま、玄奘はぴしゃりと言い放った。
ちなみに玄奘と対照的に、 悟空は腕を枕にして寝転がっていたのだが、ここで溜息を吐きながら、腕をついて身を起こした。
「別に一晩ぐらい一緒にいたって何も問題ねえだろ?人畜無害なんだから」

言葉に、若干の棘があった。
玄奘ははたと考え込み、それから思いついた推測を投げかけた。
「…もしかして…昼間、人畜無害と言ったことを根にもっているのですか?」
怖がっている子供を宥めようと咄嗟にそんな言い方をしてしまったが、 人畜無害と言うのは悪い意味ではなくても決して良い意味でもない。
聞きようによっては失礼にあたるかもしれない。
あの言葉で悟空の機嫌を損ねてしまったのだろうかと問いかけると、
「いや、別に?」
悟空は口ではそう答えつつ、玄奘の髪を指先に絡めて弄び始めた。
単なる手慰みのようでありながら、指先の動きはどこか妖しい。
「そんなつもりではなかったのですが…気に障ったなら、謝……っ、ちょ、っと…悟空!?何を…」
玄奘の背後に陣取った悟空は、さらに、髪の間からのぞく首筋を、戯れのように啄み始めた。
おまけに、
「お前が、人の気も知らないで勝手なことを言うからだ。好き好んで無害でいてやってるとでも思ってんのか?」
非難めいた言葉を耳の中に吹き込み、耳朶をゆるりと噛んだ。

人の気って、一体どういう気なんですか!?と突っ込む余裕はなかった。
悟空の言うことは正直よくわからなかったが、今はそれどころではない。
玄奘は立ち上がって叫んだ。
「前言撤回します!私が間違っていました。悟空、あなたは断じて人畜無害などではありません!ですから…っ」
お願いですからもう部屋に戻ってくださいと泣きを入れる前に、悟空が人の悪い笑みを浮かべた。
「そうか。なら期待に応えねえとな」
「え?……え…!?」
なぜか、そしていつの間にか、寝台で悟空を見上げる体勢になっていた玄奘は、 疑問符を頭の中に無数に浮かべながら、パニック状態で「どうしてこんなことに!?」と叫んだ。
――が、その悲鳴は外に漏れる前に綺麗に吸い取られて、音にはならなかったというのは余談。

本日の教訓は、口は災いの元。そして、後の祭り。。。








2009.10.19

同時進行で書いてた話たちがやけに糖度が低いというか
むしろ糖分ゼロな勢いだったので、反動で無駄にラブりました…!
ていうか、これは一体誰だ…!(((゜Д゜;)))













大人気ない   



それは、子供の可愛らしい対抗心だった。
「俺、大きくなったら玄奘先生をお嫁さんにもらうんだからな!」
人差し指を突きつけて挑戦的に言う子供に、悟空は興味なさげに「へえ」と呟いた。
悟空ののらりくらりとした態度はいつものことではあるものの、 その態度を本気にしていないためだと受け取った子供は、顔を真っ赤にさせ、 苦笑しながらこちらを見ていた玄奘を大きく振りかえった。
「言っとくけど、本気なんだからな!…玄奘先生!」
「は、はい?」
唐突に会話に参加することになった玄奘は目をぱちくりさせながらも、慌てて返事をした。
子供に望まれるまま膝を折って視線の位置を合わせると、
「約束!」
可愛らしい誓いとともに、頬に柔らかな感触があった。
「…あらあら」
近頃の子供は早熟だと驚きつつも、それでも微笑ましいものだとにこりと笑い返す玄奘を、 不意に背後から伸びてきた長い腕が、やすやすと捕まえ、浚った。
「え…っ?ご、く…」
名前を呼ぶほどの間もなかった。
片腕は腰を深く抱き込み、もう片方の手を頬に滑らせ持ち上げると、彼は当たり前のように彼女に深く口付けた。
密着した身体は押し返そうにもびくともしないし、与えられる感触に意識もふわりと浮き上がり始めると、 もう自分を包み込む身体に手をまわして縋りつく以外、彼女にできることはなかった。

玄奘の足が完全に立たなくなった頃、ようやく彼女を解放した悟空は、 目を細めて間近から彼女を見詰めた後、赤く濡れた唇を宥めるようにぺろりと舐めた。
それから、傍らで固まっていた子供に視線だけを流した。
「…残念だったな。こいつはもう売約済みだ。他あたれ」
子供は「くそー!」と真っ赤な顔で走り去った。

フンとどこか満足げに口の端を上げた悟空に対して、まだ言葉を発せられる状態でなかった玄奘は、 せめてもと頭の中で「大人気ない!!」と力いっぱい罵倒した。








2009.10.08

多分、悟空エンドのその後。(多分?)
悟空は照れ屋ですが、ゲームでの端々に出てくるあれやこれやを鑑みるに、
こういう部分の羞恥心は薄そうだと常々思っています。(笑)













甘やかす   



「ほら、皆、好き嫌いはいけませんよ」
「えー。だってこれ苦いんだもん!」
「苦いんだもんー!」
「駄目です。成長期なのですから、きちんと栄養を取らなくては。 それに残したりしては、作ってくれた悟空に申しわけないではありませんか」
「えー。…なぁ、悟空、ひとつぐらい、いいだろー?」
「あん?…あー…まあ、俺としちゃ、別に…」
「悟空!甘やかしてはいけませんよ」
「…玄奘の言うことも、もっともだ。全部でなくていいから、少しは食っとけ」
「えー!ずりーの!俺たち”は”甘やかしちゃだめなんてさ!」
「どういうことです?他の誰かは甘やかしていると、そういうことですか?そんなことは…」

「だって悟空、人参ぜんぜん使わないじゃん」
「………………気のせいだろ」
「そんなことねーって!ちゃんと覚えてんだからな!さては悟空、人参嫌いなんだろ」
「……」

「あれ?玄奘先生、お顔赤いよ。どうしたの?」
「いえ……何も」








2009.10.05

悟空エンド後の寺院での一コマ。 こっそり甘やかされてる玄奘。(笑)
しかしまあ…悟空は、人参がわからないようにアレンジした特製のお菓子とか、
玄奘のために密かに研究して作っては食べさせてると思います。
って、何だ、このあまじょっぱい二人は。(愕然)













しるし   



不機嫌な顔をしている、と思った。


「悟空、何かありましたか?」
「別に」
悟空の「別に」はまったくあてにならない。
玄奘は溜息を吐いて、窓の外から視線を動かさない悟空に近寄った。
窓枠に腰掛けるなんて行儀の悪いことだと思ってはいるが、あえて悟空の隣に自分も腰を下ろす。
今はただ、同じ目線で同じものが見たかった。
そうすると、大きな窓に移りこむ大きな月が、眼下に満開に咲き乱れる薄紅色の花と綺麗に調和し、なかなかに雅な様だ。
とても、天界の住人から蔑まれ、地上の住人から恐れられる冥界のものとは思えない。
幻想的な風景に目を奪われていた玄奘は、いつの間にか悟空の視線がこちらに固定されていることに気付かなかった。
気付かぬまま、手を取られる。





◆◆◆




夢見るような表情で外の風景に見入る玄奘をじっと見下ろしていた悟空は、何の前触れもなく彼女の手を取り、引っ張った。
咄嗟のことに小さな悲鳴をあげて倒れこんでくる身体を片手で支え、 もう片方では、取った彼女の手をさらに引いて自らの眼前に持ってきた。
華奢な指先は、力を入れれば握りつぶしてしまいそうで、いつも扱いに少し戸惑う。
けれどこの時、いつもより少し遠慮がなくなったのは、常に心の中に潜み、たまに気紛れに顔を出すこの感情のせいだろう。
目の前の彼女の手、正確に言うと、その手のひらに浮かぶ蓮の紋章に、悟空は眉根を寄せる。
これこそ、冥界に降りたはずの彼女を未だに天界と地上界に結びつけるもの。
聖なる紋章だと言っても、悟空にとっては忌まわしいものでしかない。
これがある限り、彼女はあちらを捨てきれない。
手を見るたびに思い出すからだ。
彼女は悟空の前ではいつも幸せそうに笑ってはいるが、時折寂しげな目でこの紋章を見ていることを知っている。
そのたびに、胸を掻き毟りたくなるほどの焦燥に駆られていることなど、彼女は知らないだろう。
もしこの思いを彼女にぶつければ、きっと彼女は、恐らくは今は無意識にしているのであろうその行動をやめるに違いない。
けれど、そんなことができるはずもない。
すべてを捨てても自分を選んでくれた彼女。
そんな彼女がほんの時折故郷を懐かしく思い返すのを、どうして責められるだろう。
わかってはいるが、時々、たまらなくなることがある。
「悟空…?」
不思議そうな玄奘の声が耳に届いた。
自分に対して、恐れも疑いも一片も抱いていないような声音。
言えるわけがない。
彼女から他のほとんど全てを奪っておいて、残りの一欠けらまでも差し出せなどと。
言えない代わりに、押し抱くようにして手のひらに口付ける。


いっそ、この手のひらの証が、自分の印に書き換わればいいと思った。








2009.09.29

「罪の色」であまりにも二人がすれ違いすぎたので(笑)
もうちょっと幸せになればいいよ!と思い、悟空@閻魔王と玄奘で書いてみましたが、
なんかやっぱりあんまり幸せって雰囲気じゃない…ような……あれ?(・_・;)















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