『密なる・・・』
かつて。
帰りたいと思った。
遠い天へ。遥かなる故郷へ。
かつて。
何よりも近しくあったものが離れてゆくのを、
どこか遠くへ行ってしまうのを認めようとした。
物分りの良いフリをして。
けれど、それよりもっとずっと強く。
どうにもできないほどに心が還ってゆく場所を見つけた。
けれど、そんな風に取り繕ったりできないほどに激しく。
本当はもう、この手を離してやることなどできなかったのだと気付いた。
だから、心の奥でずっと密やかに秘めやかに囁き続けていた声に従う。
望むままに、手をのばす。
そして、捕まえる。
ただ一つの――――
<了>
2002.08.18アップ